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タマラのロマンス小説

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 誘惑の演技 4 誘惑の演技 6
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誘惑の演技~江成いちこ先生コミカライズ

誘惑の演技 5

 
 誘惑の演技 4 誘惑の演技 6
「はい、終了、おつかれさま」

 ダレンの撮影終了の声が聞こえ、問題のキスシーンが一回で終わった事に安堵した。ドレイクが他のドラマの撮影もしているので、私とリンダのシーンが先に行われ、リンダは三回NGをだした。リンダのNGは当たり前とされ、皆が微笑んで撮りなおす。そんなリンダのNGをものともしない明るい気質をただ羨ましいと感じている私がいる。

 帰宅するために着替えていると、例の脚本家が今日の撮影を観ていたという理由で召集がかかった。

 私の自信がないキスシーンを観ていたのだわ。

 急に不安になってきた。今までで最高の出来のキスシーンだけれど、あれを観られていたとは恥ずかしい限りだ。落ち着きを取り戻しながら、リンダと一緒にダレンの前に並んだ。


               

「彼が最近頭角を現してきた脚本家、ジョーンズ・デイリーだ」

 ダレンがジョーンズを紹介すると、皆のどよめきと共にオパールはその場に倒れそうになった。間違いなくあのジョーンズだわ。二度と会うこともないと思っていたのに、こんなにあっさり再会するなんて。

 リンダにもたれかかりながら、頭を必死に回転させた。ジョーンズが同じ業界の人だと知っていれば、あのバーでジョーンズを狙わなかったのに。

 過去に散々、身体で役を奪っていった女優達を見てきた。そしてそういう女優はいつのまにかこの業界から消えていった。もっとも、リンダは例外だが。それはともかくジョーンズが脚本家なら彼と肉体関係を持つなんてもっての外だ。

 ダレンの話とジョーンズの話は私を素通りした。リンダは私の右腕をからめてそっと忠告した。

「オパール、ジョーンズは貴方の演技に興味があるらしいわ。キスシーンが褒められたの。もう一回しろと言われるかも」
 
 何ですって!ジョーンズの目の前でキスシーンをするのは嫌だわ。私は慌ててダレンの話を聞くことにした。

「僕はジョーの話を聞いてリンダが挑戦するのにいいと思ったんだ。しかし今日のオパールの演技を見て、オパールも自分の欠点を克服しかけている事がわかった」

「ダレン、オパールで試してもいいですか?」

「ああ、今日の彼女は何が違った」

 私で試す?何のこと?驚いて目を見開いた。ダレンとジョーンズは二人で話を続けていて、何を試すにしろ私に拒否権はないようだ。具体的に指示されるまで黙っていよう。演技とはいえ、さっきジョーンズの目の前で、他の人にキスしたという事実が嫌だった。

 彼がいるのに他の男性とキスするなんて。

「オパール、ジョーが持ってきた役は自分に恨みを持っている男性をそうとは知らずに、口説く女性の役だよ。妖艶な肢体で男性を魅了する役なんて、今までの君の役とは全く違うけれど出来るね」

「ええ、どんな役でも演じてみせます」

 オパールはバーで得た知識を最大限に生かそうと張り切った。

「早速、ドレイクを誘惑してくれ」

「ダレン、誘惑するなら、脚本家の彼を誘惑して、私が使えるかどうか観ていただきたいのですが」




 オパールは無意識に出てきた自分の発言に驚いたが、すぐに冷静さを取り戻した。またジョーンズの前で他の人とキスするよりは彼自身とキスする方がよっぽどいいわ。今日のドレイクとのキスシーンもドレイクを彼だと思ってキスしたのだから。

「それはいいアイデアだ。僕も楽しく拝見するよ。ジョーいいだろう」

「ダレン、誘惑する状況を教えてください」

 彼が拒否する前にダレンに質問した。

「状況はこうだ。ベストセラー作家のリュークはスランプに悩んで、若者が集まるバーへ憂さ晴らしに行く。そこでアンジーに誘われる。アンジーはろくでなしの父親を持っていて、アンジーの父親に恨みをもっていたリュークは、娘だとは知らずに誘惑してきたアンジーにのめり込む」

 凄い設定ね、その状況に息を呑んだ。だけど、ろくでなしの父親を持つという私と共通項があるから演技自体はしやすい面があると自分に言い聞かせた。

「君が演じるのはリュークとバーで出会い、彼を誘惑するシーンだ」

「服装はどうしたらいいですか?」

 今の黒のタートルネックにジーンズという姿では誘惑するのにふさわしくない服装だとダレンに指摘した。

「衣裳部屋から取って着ておいで、セクシーに変身するんだよ」

 ダレンにからかわれるように笑われるとオパールはやる気が出てきた。ダレンと仕事の付き合いをするのも十年以上になる。ダレンは未だに私を子供のような年齢だと思っているのだ。私は衣裳部屋に着くと、セクシーな衣装を探し出した。

 十分後、ブルーのアイコンタクトに赤い髪の毛のストレートヘアーのかつらを被り、光沢のあるブルーのスリットの入ったドレスを着た。豊満な胸を強調するために、水色の透ける素材のショールを胸元で結ぶと、細いウエストがより目立った。

 セクシーな女性に変身しながら、自分の行動は一昨日と対して変わらないことに気付いて心の中で笑った。

 ドレスとお揃いのハイヒールを履いて、目元にはショールと同じ水色のアイシャドー、口紅は赤毛に合うプラム色に近い紫にすると鏡をみて満足した。

 その変身振りは完璧で、現場に戻る間に、私だとは気づかずに口説こうとする男性もいたくらいだ。ダレンに変身した姿をみせると、早速その変身振りを褒められた。ジョーンズを観察すると、彼は食い入るように私を凝視している。

 着替えの間に素早くセットされたバーのセットに感動した。少なくとも一昨日のバーよりこぎれいだわ。ジョーはバーカウンターの真ん中の席に座っている。あのグラスから想像すると、ウオッカを飲んでいるという設定なのね。中味は紅茶だろうけれど。

 バーのセットの入り口を開けて、一人で椅子に座るジョーンズを眺めた。一昨日、初めて彼を見たときと同じ反応が身体の中に起こり、身体が火照ってくる。とても魅力的なジョーンズ。彼は、私が彼の座っている席の左右どちらに座ると思っているの?私はどちらにも座らないわ。

「ダーリン」

 甘い、吐息き交じりの声をだすと、ジョーンズは驚いた様子でこちらを見た。オパールは微笑んで彼の膝の上に座った。

「どうして?」

 ジョーンズが動揺すると、私は黙るようにという警告の意味で人差し指を彼の唇に当てた。

「貴方を一目で愛してしまったの。言葉はいらないわ」

 夢みたい。演技だとこんなにも大胆になれるなんて。でも彼に触れるのはこれで最後であると自覚しないと。どういう感じなのかいつでも思いだせるように、彼の胸に手を置いて、瞳を閉じ、全てを委ねるように身体を預けた。
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