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タマラのロマンス小説

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 誘惑の演技 3 誘惑の演技 5
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誘惑の演技~江成いちこ先生コミカライズ

誘惑の演技 4

 
 誘惑の演技 3 誘惑の演技 5
 アパートメントに戻ると、バスタブに浸かり、昨日の晩のことを思い出そうとした。彼の広い肩幅、たくましい胸、甘美なキス。情熱的なロマンスがあるはずなのに何回想像しても思い出せない。バーでの出来事と朝のホテルでの出来事しかわからないなんて、どういうことなんだろう。

 これで良かったの?オパール。

 思い出せないのが悔しい。

 折角、彼に抱かれたというのにその記憶がないなんて。

 長い時間悩んだ末に考えを改めた。彼はバーで知り合った男性だもの、本気で相手になんかされないわ。第一、彼は知り合って間もない女性と平気でベッドを共にするタイプの男性なのよ。このまま深入りしたらきっと騙されるだけだわ。

 マイクのことで充分懲りたのではなかったの?

 昨日、マイクの顔が浮かんだのは理性が警告したからよ。

 四年前の辛い出来事を思い出した。あの時はマイクのお金の持ち逃げを正当化するしかなかった。それが大手プロダクションの移籍の条件だった。そのためにTVのトーク番組で嘘をつかないといけなかったくらいだ。父、マイクの新たな門出を祝ってマイクに多額の投資をした娘オパール。これは美談として取り上げられたが、自分自身の気持ちを偽る演技に相当、精神力を消耗した。トーク番組の出演のあとは人目につかないトイレで吐いたし、青白くなった顔をメイクで隠し、作った微笑みをTVに露出する日々だった。

 顔のマッサージをした後、ボディーローション身体の隅々まで塗った。爪を整え、ストレッチ体操をしてから、アイマスクをして仮眠をとる。フェイスケアとボディーケアは絶対怠ってはいけない。

 そもそも私は美貌を認められて女優になったわけではないのだから。

 三歳の子役オーディションでは抜群の記憶力だけが評価された。そのオーディションでは、長い台詞を間違えずに感情を込めてしゃべれる三歳はそう多くはいなかった。金色の髪に金色に輝く瞳が愛らしいという評判だったが、幼い頃のその評価が大人になって通用するとは到底思えない。人一倍努力しないと、この先この世界では生きていけないことくらいわかっている。

 仮眠をやめ、更に身体を動かして体操を始めた。昨日、彼に抱かれたというのに身体が痛くない。そもそも未経験なのだから、本当のことはよくわからない。健康のために海老の入った野菜サラダを食べ、牛乳とサプリメントを飲み、歯を磨いて眠った。
 

                        ***


 翌日、黒のタートルネックにサングラス、黒い帽子にジーンズ、そして大きな鞄を抱えTV局に直行した。今日はドラマ撮影がある。私の演じるクラウディアはマイクに騙される前の私そっくりで演じやすい面がある。妹役のリンダは台詞が下手なので、私が助けないといけない。楽屋へ入るとリンダがメイクをしていた。

 シルバーの瞳にシルバーブロンドのストレートヘアーのリンダは私と好対照で、二人でレースのついた白い服を着ると、いつものようにこの白い服なら保健所でも働けるとふざけあった。

「ねえ、オパール。今日は有名な若手脚本家が撮影見学にくるらしいの。誰を狙っているのかしら。ドレイク?それとも私か貴女?」

 リンダは私とは違い自信満々だ。その前に台詞を覚えてきたら?と思うのたが、リンダの役は彼女の記憶力に合わせて台詞が少なく、無言ではにかむ仕草がほとんどだ。

 リンダの表情は印象的で大人しく、はかなげな美女ぶりには定評があった。

「私、好みのタイプならベッドに誘うかも」

「リンダ、プロデューサーの彼はどうしたの?」

「円満に別れたわ。彼が浮気したの。私も彼に飽きたし、今はフリーの身なのよ」

 リンダのいつものあっさりとした態度に呆然とした。リンダはいつも三ヶ月ぐらいしか決まった相手と続かない。しかも何故かたいてい円満に別れる。どうしてなの?私は相手を決めたら一生その人でないと嫌だわ。その時、私は脳裏にジョーンズの顔を思い浮かべてしまった。
 
 彼のことはきっぱりと忘れようと結論を出したばかりなのに、彼は絶え間なく私の頭と心をよぎる。彼のことを忘れようとするあまりに、すでに暗記した台本を必死に読んだ。

 台本のストーリーは私の演じるクラウディアと、ドレイクの演じるベンがキスをする場面をリンダが演じるリリィーが目撃してしまう場面。戸惑う妹、リリィーにクラウディアは優しく接して、貴女がショックを受けているのは私という姉がベンにとられたと思っているからだと諭す。そして愛についてリリィーに語るのだ。

 配役を代えたほうが合っているのではないかと皮肉混じりに考えた。少なくともリンダの方が愛について詳しく語れるはずだ。問題はドレイクとのキス。彼とのキスシーンは初めてではないが、全くときめかない。ジョーンズと同じ黒い髪に黒い瞳のとてもハンサムな男性だが、線が弱く、特に関心がないというのが事実だ。

 彼をジョーンズだと思って演技しよう。

 前回のキスシーンでは五回も取り直しが行われ、監督のダレンはどこがどうとも注意しなかったが、明らかに私のキスの演技がまずかったのだろう。

 スタイリストの女性に髪の毛をつややかになるまでといてもらいながら、今回のキスシーンは一回で済まそうと心に誓った。 
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