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タマラのロマンス小説

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 君のメールが届いたら 8 嫌い、だけど好き 2
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嫌い、だけど好き

嫌い、だけど好き 1

 
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ACT 1  嫌い

 こんなこと普通、あんまりしないってわかってる。

 だけど、そうしないとストレス解消が出来ない。

 独り、カラオケボックスで歌を歌ってる。予想通り、気恥ずかしい思いは店内入り口の受付で独りですと言う時だけだった。

 嫌な事実を忘れるために必死に歌っている。

 三原 玲於奈。二十二歳。私という人間の成分は劣等感と焦燥で構成されている。

 友達が居ない訳じゃない。

 今は誰とも会いたくないだけ。

 必死に歌い、気力を消耗すれば、多少なりとも気が済むのだろうか?

 考えたくない就職活動。秋の紅葉が瞳の中に飛び込む季節に、未だ就職活動をしているが内定はもらっていない。

 内定をもらえない理由はわかってる。

 見た目は十人並み。黒い髪に色白の肌。際立った特徴なんてない。どこにでもいる女だと思う。

 わたしと同じような女は日本に一万人くらいいるんじゃないか、なんて思っている。

 そんなこと、忘れたい。

 某、芸術大学四年生で、美大へ行った理由も。

 こんな気持ちで生きていることも。

 最新の音楽をずっと、歌っているとさすがに声が枯れてきた。

 咳き込んだ瞬間、やっぱり、フリードリンクは必要なのかなーって考え出した。

 店内入り口にある、ドリンクバー。

 自分で取りに行かないといけない店は失敗だった。

 独りだから、貴重品を持って出ないといけない。

 鞄の中から財布を取り出し、万が一、その他の物は無くなってもいいよと自分に言い聞かす。ドリンクバーで並々とオレンジジュースを注ぐと、目の前に新田拓真が居た。

 新田拓真、私の大嫌いな彼。

 同じクラスの隣の席に居るはずの彼。

 単位を取り終えて、適当に卒業制作作品も作り終えたんだろうなあと、容易に想像できる彼。

 もう、学校へは滅多に来ない。

「よっ、ドーナツ娘、久しぶり」

 早速、わたしに気付いた新田。まるで、今日学校で別れたばかりのように気さくな態度で話すのね。

「こんばんは、新田」

 冷静に返事をするわたし。握りしめたオレンジジュースのコップは嵐に遭遇したように、揺らめいている。

「あれ?新田の彼女?」

 新田の連れが気まぐれな質問を投げかける。わたしより、10歳ほど年上の連れは新田の友達にしては違和感がある。しかし、そのきまぐれな質問はわたしを混乱に落とす力を持っていた。

「そ、そんな訳、ないじゃないですか」

 動揺のあまりに手が震えた瞬間、オレンジジュースをスカートの上に少し、こぼしてし
まった。ジュースをドリンクバーの台の上に置いて、ポケットからハンカチを出して拭く。

「大丈夫か?」

 百八十センチの身長を屈めて、わたしのスカートを心配する新田。いやらしい視線ではないけれど、余計に意識してしまう。
 
「あ、大丈夫です。失礼します」

 表面上は愛想よく対応したわたし。それがわたしの精一杯だった。

 ハンカチでスカートを押さえて、財布を持ったまま、足早に自分のボックスへ戻る。

 パタンと音が鳴るくらいの勢いでドアを閉めると、息が切れそうなくらい、呼吸は激しく波打ってる。

 新田拓真。

 こんなところで会いたくはなかった。

 嫌い、大嫌い。

 こ、このまま帰ろうかしら?

 あの迷いのない、堂々とした風情のイケメンで整った顔を見たくない。さらっとした涼しげな印象のまっすぐな髪の毛の一本でさえも。

 荷物を手に持ち、考えた。

 カラオケの演奏が呼吸とともに鳴り響いている。

 演奏を止める気力もないまま立ちつくしている。

 新田と新田の連れが早く受付から去って欲しい。

 わたしの気持ちとは裏腹にドアがノックされ、新田達が入って来た。

「三原、ジュース、忘れていたよ。あれ?独りなのか?」

 オレンジジュースを片手に持っている新田とその連れ。親切心丸出しの表情に焦りと苛立ちが募る。

 どうでもいいから、ここから消えて。

 そう言いたいのを懸命にこらえる。

「え~と、その・・・・・・」

「連れが急用で帰ったとかそういうのだろう。ラッキーだな。僕達も丁度、二人で人数増やしたいって思ってたから」

 呆然と立ち尽くすわたし。

 ボックスの電話で合流を告げる新田の連れと笑顔の新田。

 待ってよ、わたし、承諾してないじゃない。

 次の曲の演奏が始まると、いいから歌えよと言わんばかりに、新田からマイクを手渡された。   
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