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タマラのロマンス小説

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 霜月桂先生×麻生歩先生 トーク&サイン会へ行ってきました。 NYより宇宙の空へ 2
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NYより宇宙の空へ

NYより宇宙の空へ 1

 
 霜月桂先生×麻生歩先生 トーク&サイン会へ行ってきました。 NYより宇宙の空へ 2


 ニューヨークの夜はまばゆい光で彩られ、赤、青、黄、白のネオンが四角や流線型の模様を描いている。

 窓の外の光の洪水よりも、アベェリー・ロジャーズの琥珀色の瞳は、目の前に居る彼、ジェームズ・リードに向けられていた。

 ホテル最上階のレストランのディナー後の気取ったチーズケーキよりも、ジェームズを見つめているなんて、どうかしている。

冷静になるのよ、アベェリー。“賢明な”という意味から名付けられた自分の名前を忘れたの?

 黒い髪に黒い瞳、190センチの身長にがっしりとした体形のジェームズは、J&Rグループを経営しているNYの一流ホテルやクルーズのオーナーだ。このNYだけではない、彼の一族は世界各地の観光事業で成果を出している。

 ここが一流ホテルのVIPルームで、しかも二人きりで、NYの夜景が魅惑的でも、ビジネスディナーである事実を忘れてはいけない。

 しっかりするのよ、アベェリー、現実を思い出してみて、J&RグループのNY支店の公認会計士になってから個人の小さな会計事務所がどれだけ大きくなったのかを。

 いくら勉強しても世界的なセレブであるジェームズとわたしの世界は違うはず。

 「・・・UFOがって聞いている?アベェリー」

 UFOですって!聞いていなかったわ。経済の話からUFOに話が飛ぶなんて、想像できないじゃない。

はっとした瞬間、頭を上げると、バレッタで頭頂部に留めたブラウンの髪の毛が一筋、はみ出してしまい、慌てて髪の毛をかきあげながらジェームズに返事をした。

「気を悪くしたらごめんなさい。わたし、UFOとか宇宙人というものを信じていないの」

 厳格な両親に育てられたことで、UFOや未確認生物などは一切、自分の人生とは関係してないことを教えられた。物心がついた時にはサンタクロースの正体を話されたこともある。

 いい両親だが、そういう夢がなさすぎる面は感心しない。

「ジェームズはUFOを信じているの?宇宙人が居るとでも?」

「居たらいいなとは思っているよ」

「夢があるのね」

「いや、極めて現実的だよ。考えてごらん。宇宙人が地球を侵略すると人類が判断したら、人類は戦争を止めるよ」

「地球人対宇宙人の規模で戦争を考えるということ?」

「ああ、この世界の戦争は無くなり、宇宙人との応戦を考える。実際、居なくてもいい。確実に居ると思わせればそれでいいんだ」

「だめよ。それでは宇宙人を介さないと、人類が仲良くなれないみたい。宇宙人が居なくても、宇宙戦争がなくても、人類は皆、仲良く共存しなくては!」

「・・・優しいね、アベェリーは」

 違うの、宇宙人は居ないと決めつけているの。未知なものが怖くて仕方がない。もし宇宙人が存在したら地球を侵略するのかしら?

 27年間生きてきたけれど、今まで一度も目の前に現れなかったじゃない。そもそも顔をみたら侵略されると思われている事実を宇宙人に知られると、宇宙人の方から地球人と友達になるのはお断りだと宣言されるわ。

「それより、ジェームズ。あなたの会社は雑費が多すぎるわ。認められるものとそうでないものを区別しないと!」

「アベェリー、今は仕事の話はしないでプライベートの時間を楽しもう」

「・・・そうね、ごめんなさい」

 ため息をついたジェームズ。気がつけばいつも仕事の話に戻るから、退屈してしまうのね。

 本当は仕事以外の話をしたい。例えばそう、二人の未来の話とか。

 駄目よ、そんなことを願っては、そもそも二人の未来なんてありえない。

 首を横に振った瞬間、留めていた髪の毛がまた、一筋、滑り落ちた。

 貧しい、といわないまでも勤勉で真面目で厳格な両親から産まれ育ち、質素な生活をしてきた、わたし、アベェリーと先祖代々、Jのつく名前で統一された富豪のジェームズでは釣り合わない。

 出会う度にわたしを誘うジェームズだけれど、それが真剣なのかひとときの遊びなのかがわからない。

 思い通りにならないのはわたしのブラウンの髪の毛だけでいい。

「アベェリー、難しい顔をしているね」

「気にしないで」

「そろそろ帰ろうか」

 本当は帰りたくない、ジェームズと一緒に居たいのに・・・。

 ホテルの玄関へ降りると、リムジンがジェームズとわたしを迎えに来てくれた。後部座席のドアを開けてくれたリムジンの運転手に聞いてみたいこと。

 ジェームズに恋人は何人居るの?

 隣に座るジェームズの温かい身体とムスクのような匂い。初めて会ったのは背伸びをして出かけたセレブ達が集まるパーティーだった。

 あれから3ケ月が経つ。
 
 一目見て、この人だと感じた。その場で意気投合したけれど、わたしは自分の気持ちへの即答を避けた。

 今まで付き合った恋人は2人居たけど、恋愛と結婚は別のようで、わたしは2回の失恋でかなり傷ついた。

 恋愛はひとときの情熱だけで結婚には発展しない。

 もう、恋愛で傷つきたくはない。

 恋なんて二度としないと決めたのに、ジェームズといると忘れてしまいそうになる。

 あっという間に自宅の前に着くと、運転手じゃなくてジェームズがリムジンのドアを開けてくれた。

 上品な印象のスーツとコート。ブラウンと黒でコーディネイトしたわたしの服をすっぽりと包むように、ジェームズはジャケットをかけてくれる。

「ジェームズ、あなたが冷えてしまうわ」

「いや、熱いくらいだから」

 基礎体温が高いのね。わたしの腰に手を添えて歩くジェームズから伝わるものは多い。

 優しくて、温かなジェームズ。

 アパートメントの玄関の前で、不意に抱き寄せられキスを交わした。

 濃厚な舌はわたしの唇を開き、わたしの身体を熱く攻め立てる。

「アベェリー、君が欲しい」

「ジェームズ、わたしは・・・」

「まだ、早いと言いたいのか?」

 再び、ジェームズの唇がわたしの唇に重なる。

 甘く、激しいキスは全てがどうなってもいいとわたしの体は感じている。だけど、どんな愛の言葉を聞けば、愛の行為を交わせば心は納得するの?

「・・・今夜はこれくらいにしてくれる?」

「アベェリー」

 宥められるかのようにそっと抱き寄せられると泣きだしそうになる。

 どんな数字にも勝てると仕事では強気なのに、恋愛はどうしたらいいのか、分からなくなるなんて。

「アベェリー、2週間後の土曜日に会おう。それまでは・・・そうだな。この夜空を観るときは僕を思い出してくれるかい」

「ええ、もちろんよ」

 夜空どころか、ジェームズのことを想わない時なんて一秒もない。去りゆく後ろ姿を見つめながら、自分の臆病さが嫌になった。


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