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タマラのロマンス小説

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 アラビアンナイトに煌めいて 19 アラビアンナイトに煌めいて 21
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アラビアンナイトに煌めいて~高木裕里先生コミカライズ~

アラビアンナイトに煌めいて 20

 
 アラビアンナイトに煌めいて 19 アラビアンナイトに煌めいて 21
   ***

「ラシード。・・・ラシード!!!」

 叫びながら目覚めると、そこはアル・ファールド国ではなく、自国、イギリスのロンドンの自宅に居た。見慣れた家具が並ぶ中、意識は混乱する。

「ああ、アラベラ。大丈夫かい?」

「カルロ」

 どういうことなの?アル・ファールド国に居たことは夢だったの?カルロが心配そうにわたしの顔を覗き込んでいる。

 右腕がずきずきと痛み、包帯を巻かれていることに気付いた。

「ラシードは無事なの?」

「ああ、アラベラは2日も眠っていた。シーク・ラシード様が説明してくれたよ。国のクーデターに巻き込んで済まなかったと。国王なのに自ら僕に謝ってくれた」

「どこに居るの?ラシードは?」

「アル・ファールド国へ戻ったよ。医師は完治するまで通わせると話していた」

「・・・・・・そう」

 つまり、わたしはラシードに捨てられたの?
 
ベッドの横には旅行鞄と、見覚えのある積み上げられた箱が置いてあった。二人でダンスしたときのドレスが入っているのだわ。それはアル・ファールド国を想わせるし、別れのプレゼントのようで見たくもない。

「アラベラ、その、ラシードとの間に何かあったんだね。ラシードは君を愛しているように思えたし」

「どうして、そんなことが分かるの?」

「シーク、自ら抱きかかえてこのベッドルームに運んでいたし、男同士、そういうことは理解出来るものだ」

「では、なぜ、わたしはここに居るの?」

「危ない目に遭ったし、彼はシークだ。身分も違う」

ダーギルが急襲した時、逃げることは出来なかった。何度、同じ場面に遭遇してもラシードを守るに違いない。愛しているし、尊敬もしている。アル・ファールド国の国民を大切にするシークが命を落とすなんてことはあってはならない。

身分についてはカルロの言うとおり。

指輪が渡されなければ出会うことも話すこともなかっただろう。

医師は毎日往診してくれたが、すでに傷は縫ってあり、完璧な処置がなされていた。

ベッドで眠っていると、絶えずラシードのことを思い出し、枕が涙で濡れる。

右腕は傷むが、店に出て自分の出来ることをした。

あんなに楽しかった店の仕事が、こんなにも色あせたように感じるなんて思いも寄らなかった。

カルロに心配されてはいけないと平気な振りをすることも出来ず、レジの前に座り、黙々と伝票整理と発注作業をする。

あたりまえの日常なのに、迷子になったように戸惑っている。

そんな日々が3週間過ぎた頃に店の扉が開き、モニールと側近のミスター・ナジムが来店した。

アル・ファールド国を想わせるものには触れたくもない。

閉じたはずの傷口が広がるような痛みが心を打った。

この方たちはお客様よ、アラベラ、頭の隅に残ったプロの根性が囁きかける。

顔の筋肉を集め、どうにか笑顔を作った。

「こんにちは、ミス・マーロン。アラベラと呼んでもいいかしら?傷の具合はどう?あまり元気がないようね」

「いいえ、元気です」

「そうなの。少なくとも、ラシードよりは元気そうね」

「ラシードは病気なのですか?」

「調子が悪いというか、衰弱しているというか。マイスールの処分に悩んでいるの」

「マイスールがどうして?もしかしてわたしの怪我の責任を取らされているのでは?」

「いいえ、ロフサーネのことだけれど、マイスールのことが好きで、独り暮らしの家に押しかけたのよ。マイスールはそれをラシードに報告しなかった」

「他に好きな人が居たからラシードと結婚したくなかったのですね」

「ええ、それにラシードはそっけなくて機械みたいにてきぱきと仕事をこなす、無機質な印象で、相性が合わなかったみたいね。いつもそう話していたわ」

「ラシードが無機質ですって!あの人、わたしのことを思い切り笑うのよ!それにいつも口論になりますし」

好奇心の詰まった表情でモニールはわたしを観察すると、黒革のポーチから封筒を出した。

「来週のわたしの誕生日会へいらっしゃい。ラシードも呼んだから直接、確かめるといいわ」

 そっとわたしに封筒を手渡したモニールは必ず来るようにと告げて去って行った。

 封筒を握りしめたわたしは迷った。

あれから一か月が経っている。

何度もラシードに抱かれたのに、子供を宿していなかったことにも傷ついた。

 誕生日会へ着て行くドレスもベッドの横に置いてある箱の中に入っている一着しか持っていない。

 戻って来て以来、一度も触っていない積み上げられた箱を、上から順番にそっと開けたときに涙がこぼれた。

 駄目って言ったじゃない、ラシード!

 アル・ファールド国でドレスを着た時に、首に付けたネックレスが入っていたことも問題だから怒らないといけない。

 それだけではない、アラビア模様の施してある小さな宝石箱を開くと、あの時、あんなに注意したダイヤモンドの指輪が入っていた。

 リムジンの中で、愛している人にこの指輪を渡すように注意したけれど、また、わたしが指輪を持っていることになる。

 もしかして本当にわたしはラシードに愛されているの?

  直接、会って確かめてみよう。

 泣いてなんかいられない、わたし、アラベラ・マーロンは人生最大の賭けに出るのよ!

 右手の薬指にダイヤモンドの指輪を身につけると、左手の薬指にはめ直してくれるラシードの姿を想像した。

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