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タマラのロマンス小説

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 アラビアンナイトに煌めいて 12 アラビアンナイトに煌めいて 14
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アラビアンナイトに煌めいて~高木裕里先生コミカライズ~

アラビアンナイトに煌めいて 13

 
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 わたしはどうかしたのではないだろうか?

 自分の店のシルク製品でさえ、ひとつ、ひとつ吟味して買っていたのに。

 サテンの滑らかでエキゾチックなブルーのドレスは、金糸で刺繍が施されてなまめかしい雰囲気のドレスで、わたしの青い瞳をより濃く見せている。

 露出は控え目だが、鎖骨のデコルテラインが流れるようなⅤラインの合間に映え、身体のラインが滑らかに出る。手足の爪は赤く、髪の毛はきれいに巻かれて、頭の上に留められ、物憂げな印象のアイライン、まつ毛も上に、くるんと丸められている。

 口紅は鮮やかな赤。

 鏡に映った姿は、今までで一番美しい姿だった。

 断らなかったのは、ラシードに少しでもきれいと思われたかったから。

 こんな気持ちになったことはなかったのに、どこかが狂っている。

 高めのハイヒールは履き慣れてないので階段を降りてリビングで履いてみる。少し歩いて靴が足に馴染み始めた頃に、刺繍の施された王族の正装、白のゴドラを頭に、白いトーブ姿のラシードが現れた。

 うっとりと見惚れていると、わたしの手を取りエスコートしてくれた。

「アラビア語も分からないし、ダンスどころか歩くことさえ怪しいの」

「僕の腕に手を置いたら大丈夫」

「物事を簡単にするのね」

「ようやく、僕のシークの能力を褒めてくれたのかい?」

「そういうことにしておくわ」

 ラシードのたくましい左腕に右手を絡めると頭を彼の腕に預けた。アフターシェイブローションと彼の匂いがする。

 ずっとこうして彼に触れていたい。

「アラベラ、これを」

 タキシードの上衣のポケットの中から宝石箱を取り出した。ダイヤモンドのデザインのネックレスはファッション雑誌に掲載されている、憧れるけれど、一生触れることも、見ることも出来ないような豪華なもので、ダイヤモンドにサファイヤが散りばめられている宝石デザイナーの1点モノだ。

「身に付けたら緊張するわ」

「今夜の君はプリンセスだから」

 高級ジュエリーをレンタルしてくれたのかしら?

 シークのパートナーには必要なもの?

 そのネックレスを身につけるだけで緊張してしまうからと断る前に、彼がわたしの首にネックレスを着けた。首元に触れられ、彼を身近に感じると今夜だけは、彼のプリンセスになれる気がした。

 同、ホテル内の一角に設けられたダンスフロアとブュッフェ式の食事、至る所に花が大きな花瓶に活けられ、華やかなドレス姿に身を包んだ女性とエスコートする紳士が連れ添って歩いている。

 すれ違う人々に挨拶をされ、分からないアラビア語に笑顔のみの奇跡の対応をすると、部屋の奥には段の上に重厚なレッドカーペットの敷いてある玉座があった。

「まさか、あの席に座るつもり?」

「いつもはあの席に座るけどね。今夜は君とダンスをする約束をしただろう」

 そう返事しながらくすくすと笑っている。何がおかしいのかしら?本当は玉座に座らないものなの?

「わたしはからかわれているの?」

「そうだね。座らないよ、普段は。商談するのに座っていたら時間が勿体ない」

 ほっと胸を撫で下ろすと、ダンスフロアへ導かれた。

 滑らかな動きでリードされ、ダンス経験の少ないわたしでもなんとかなりそうだと安心したのも、つかの間、彼の広い胸元に抱かれているかのように身体と身体が密着していることに気付いた。

 足を踏んでも構わないと冗談まじりに話すので、思い切り彼をにらんだのは失敗だった。

熱の籠った熱い視線でわたしを見つめている。

 時が止まったかのように見つめ返し、心の中で囁いた。

 わたしはあなたを愛し始めている。

 こんな気持ちを持ってはいけないのかしら?

 シークではなく、一般の男性なら自分の気持ちを打ち明けてしまうだろう。

 音楽が途切れると、数曲一緒にダンスしたようで、周囲の人達が注目していることに気付かなかった。

 ふと、会場を見回すと見知った顔の女性が居て彼に話した。

「あの人!わたしの店にミスター・ナジムと来ていた女性だわ。どうしてここに?」

「モニールが?でも、あり得るか」

「教えて、どういう女性なの?」

「あの人は義母で、父、ファドルの第二夫人だ。第一夫人が僕の母のロヤー。母は海外へ行き自由に暮らしている。モニールは実際、僕には良くしてくれるよ。実母は僕が物心ついてすぐに帝王学を学ぶために家庭教師達が常時就いていることを知り、海外へ飛んだ」

「あなたの母代りなの?」

「そういうわけでもない。ただ、争いを避けるために、後継者は僕独りであるほうがいいと考え、子供は産んでいない。父の本当の意味での妻はモニールだ」

 何のためにモニールはアラベラをアル・ファールド国へ呼んだのか?

 ロフサーネに似ているので気に入ったことが理由かも知れない。

 ミスター・ナジムはモニールの側近のため、お忍びで買い物をするときに偽名を使っていて、催事の申請書も責任者を取り込んで極秘に頼んだはず。実質、父の愛しているのはモニールで、責任者も僕の部下の取り調べではどちらの味方につけばいいのか迷い、話せなかったとうことなのか。

 ラシードは疑問を分析した上で判断した。

 しかし、兼ねてからモニールが言及している後継者問題にも触れていることには、本人も気付いていない。

 アラベラの腰に手を添えたラシードは悠然とモニールの方へ歩いて行った。
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