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タマラのロマンス小説

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 アラビアンナイトに煌めいて 9 アラビアンナイトに煌めいて 11
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アラビアンナイトに煌めいて~高木裕里先生コミカライズ~

アラビアンナイトに煌めいて 10

 
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 いつのまにか小さな町についたようで、孤児院はコンクリートで塗り固められた壁の上部の方に小さな窓がある細長く3階建ての建物が3つ並んでいる。

 真ん中の建物に入ると、男性と女性が離れたところで並び、わたし達を待っていた。

 男性は白いトーブという服装にゴドラという頭を覆う布、女性は黒いヒシャブにアバーヤという服装で、わたしとラシードを好奇心溢れる瞳でみつめている。

 後ろに並んだ段ボールの山をSPの方に男女別に分けて貰うと、男女の間に仕切りを置くように頼んで、ラシードに話しかけた。

「ラシード、お願い。男性にネクタイを選んで渡してくれる?わたしは女性にヒシャブとスカーフを選ぶから」

 仕切りを置いて貰って正解だった。段ボールを開けると、女性達は嬉しそうに商品を選んでいるから、一緒になってこれが似合いますね、なんてはしゃぐと楽しい。ランジェリーも入っているから、男性の目があると、肌着は選びにくいし、孤児院の女性達はわたしに対して緊張した面持ちだったのに、時間が経つとともに打ち解けた。

 寂しいと感じたのは、わたしのことをラシードの婚約者、ロフサーネだと思っているからプリンセスと呼ばれたこと。

 違う場面で出会っていたら、アラベラとして仲良くしてくれたかしら?

 ロンドンの自分の店を紹介しそうになり、我慢する。

 わずかの時間にスイスシルクは全て配られ、皆、喜んでくれたので、ほっと胸を撫で下ろした。男女別に行われたティータイムでも孤児院での生活を聴き、きちんと学習して、シャリーヤホテルの従業員などの国家公務員になりたいという願いを持っている皆に共感した。

教育も無料で受けられることを知り、ラシードは素晴らしいシークだと顔をほころばせて話してくれるので、シークとしての実力を認めざるを得なかった。

 口頭で孤児院へ寄付したと告げられるより、実際に連れてきてくれたことが嬉しかったし、ラシードのことを信用出来るようになった。

 コーヒーや、皿に並べたスパイス入りのクッキーも、長い草模様の布を床の上に乗せて皆で食べると、この国の文化について色々なことが聞けた。

 お別れの時間になり名残惜しかったが、貴重な体験に感動した。

 段ボールが無くなった広いリムジンの室内で、早速、ラシードの隣に座り、お礼の言葉を述べた。

「ありがとう。アル・ファールド国は素晴らしい国だわ。ラシード、あなたは優しくて、立派なシークね」

 わたしの顔をまじまじとみつめるラシード。やがて笑いだした。

「優しい?僕が?一度も言われたことがないけれど」

「紛れもなく優しい人よ。だって、孤児院へ連れて行ってくれたもの。感激したわ」

 どうして驚いた顔をしているのだろう?感謝の気持ちを込めてラシードの右肩に両手を置き、頬にキスした。

「アラベラ」

 咎める言葉が出てくるのかと想像した瞬間、リムジンが発進した勢いで、わたしは座席の後方へ倒れ、わたしの身体をかばうように、覆いかぶさったラシードとみつめあった。

 瞳を閉じると、合図のようにラシードがわたしの唇に唇を重ねる。

 反発心も自己主張もラシードに振り向いて欲しいと本能が感じたから生まれたものなの?

 傲慢なラシードに好意を持っている。

 温かく力強い唇が、わたしの唇を開こうとした時に、はっとして、ラシードの唇を避けた。

「あなたにはロフサーネが居るわ」

「初めて会った時から起こった僕達の反応を無視するのか?」

「・・・・・・それは」

「君は僕に惹かれている」

否定できない事実。わたしの指に指を絡ませて服従させるかのように、しっかりと唇に唇を重ねている。

「だめよ、ラシード。もしかしてわたしをロフサーネと間違えたの?」

 ラシードから顔を背けるのに勇気を振り絞った。

 行きつく先はひとときの戯れか、愛人。

 そういうのには耐えられない。

「すまない」

 わたしをそっと離したラシードは距離を置いて座り、わたしの方を見ないようにしている。

 理性が働いてくれたと安心するべきなのに心はざわめいている。

ロフサーネと間違えたのではないって否定しなかったことにも傷ついている。

もしかして、わたしはラシードに恋をしたの?

シークで婚約者の居る彼に。リムジンから降りると、疲れたと話してシャワーを浴び、ベッドの上に横たわる。

恋なんてしていないと自分に言い聞かせながら、心は迷い続けていた。

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