FC2ブログ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。

タマラのロマンス小説

スポンサー広告

スポンサーサイト

 
 アラビアンナイトに煌めいて 3 アラビアンナイトに煌めいて 5
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



もくじ   3kaku_s_L.png   スポンサー広告
*Edit
   

アラビアンナイトに煌めいて~高木裕里先生コミカライズ~

アラビアンナイトに煌めいて 4

 
 アラビアンナイトに煌めいて 3 アラビアンナイトに煌めいて 5
 ***

「指輪は落ちていました。わたしは落し物を届けただけです」

 シーク・ラシードに一礼し、用は済んだとばかりに一歩踏み出した途端、白いトーブ、白いゴドラの服装のSP達に取り囲まれた。

「わたし、指輪を盗んでなんかいません」

「黙っていろ。取り調べは僕がする」

 これが黙っていられること?

シーク・ラシードのSPはわたしの前で立ち止まったが、取り調べるなんて有り得ない。

「イギリスの大使館へ連絡、カルロ、あるいはスペインに居る両親の元へ・・・・・・」

「君がここで話すと事態は余計に混乱する」

 急ににっこりと微笑んだラシードはわたしの左手を取り、フロントテーブルの上に置きっ放しになっていたダイヤモンドの指輪を、わたしの左手の薬指にはめた。

 一級の犯罪者だって言った癖に、わたしにダイヤモンドの指輪をはめるなんてどういうこと?

 しかも、左手の薬指だなんて。

 あっという間にわたしはプリンセスのように抱きかかえられ、ラシードはエレベーターの最上階へ向かうと、エレベーターの前には大きな玄関と仕切られた左右のドアがあり、カードキーで右のドアを開け、SPの者達を左のドアに向かうように指示した。

 スイートルームだろうか?

 いや、ここはシーク・ラシードのプライベートルームらしい。

 幾何学模様のアクセントがある金の刺繍の施された絨毯、金色の支柱が伸び、草花柄の布をあしらった家具がゴージャスで、無理やり連れて来られた事実を忘れそうになる。

 リビングルームの赤いソファーの側のサイドテーブルの上に飾られた白いジャスミンの清冽な美しさと甘い香り。花の横にそっと降ろされ、その花を手に取った。

「いい匂い。きれいだわ」

 座って匂いを嗅いでいる姿をまじまじと眺められたわたしは今置かれている状況を思い出して、彼、シーク・ラシードを見上げてにらんだ。

「一目見て、ロフサーネと別人だと感じたが、他の者は困惑している」

「ロフサーネ?」

「ああ、当家と懇意にしているハキーム家の娘、婚約者のロフサ-ネは君とそっくりだ」

「わたし、アラベラ・マーロンです。ロフサーネという方は存じません」

「君が指輪を持った経緯について話してくれないか?」

「イベント会場で拾いました。それ以外に何か?」

「信じられないな」

「わたし、ちゃんと届け出ました。あなたはそれを目撃したでしょう!」

「この国へ来た理由は?」

 信じて貰えるかどうかは判らないが、アル・ファールド国へ来た経緯を語った。考え込んでいた様子のラシードは結論を出し、淡々とした口調で反論した。

「高級官僚の名にナジム・サービドという名もなく、このホテルは国営、つまり、催事出店をするにも推薦者は僕の知る名前でないと話しが合わない。君は騙された。商品を大量に買われたのも、ここへ誘われたのも、全て君とロフサーネと似ていることが原因だ。犯人は2週間後に行われる僕とロフサーネの結婚式をつぶそうとしている敵の可能性がある。そう考えると辻褄が合う」

「大切な顧客を悪く言わないでください。お話しするだけでも裏切り行為に近いのですから。わたしが販売を終えてすぐに帰国すれば問題ないのではないですか?」

「いや、君は手元に置いておく。大事な駒だ」

「大事な駒?」

「SPも迷うほどロフサーネと似ている。本人がどこにいるか確認するまではここに居て貰うよ」

「お断りします。さっきから聞いていると、わたしに人権がないような話ぶりだわ。明日にでも帰国することを希望します。では、これで失礼します」

立ち上がった瞬間、ラシードに両肩を掴まれたが、右手でそれを振り払おうとした。

「前言を撤回するよ。君を駒にするのは美しすぎる」

 どういうこと?予想外の褒め言葉に驚いていると、わたしの結った髪の毛を繊細な指先でほどいて、左耳の上にジャスミンの花をさしたので、頬が紅潮しながらも反論した。

「機嫌を取るには遅すぎませんか?」

「事実を述べたまでだ。君はきれいし、それに」

 動揺しているわたしの左手を持ちあげると、左手の甲にうやうやしく唇を重ねた。

「アル・ファールド国に居る間は僕が法律だ」

 決意を秘めたラシードの瞳に腹が立った。なんて傲慢でわがままなの!とっさに作戦を変えたのよ。君主の命令に背くならば、自身のセクシーな魅力を使って口説く方法に。口の中が緊張でからからに乾き、唾を飲み込んだ。

 いつもこういう感じなの?

 2週間後に結婚するというロフサーネに対しても?

 「わたしはロフサーネじゃありませんし、そういう態度は感心出来ません」

「疲れただろうし、ベッドで休めばどうだ?あのドアには鍵がかかるし、好きに使えばいい」

 本性の命令口調に戻ったようね。

「わたしはイギリス人で誰のものでもない。それを理解してくれれば構わないわ」

 疲れているわたしには彼の休戦に応じるしか選択肢はないようだったが、悔しいくらいにサイズの合っているダイヤモンドの指輪を抜いて、サイドテーブルの上に置き、ラシードをにらみつけてから、彼が指したリビングルームの脇の階段上にあるドアの方へ向かった。

 
関連記事



もくじ   3kaku_s_L.png   アラビアンナイトに煌めいて~高木裕里先生コミカライズ~
   

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。
  • 【アラビアンナイトに煌めいて 3】へ
  • 【アラビアンナイトに煌めいて 5】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。