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タマラのロマンス小説

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海運王の娘~サン・テロス公国物語外伝1~

海運王の娘 12

 
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     ***

 晴れていた空が陰り、雨雲が押し寄せる。木々はたわみ、横殴りの雨は激しく地面を打ち付ける。
 
 風のざわめきと共に不安な気持ちが加速する。

 がっしりとして器用な指先のアレクシスを見つめないでいようと、窓の外に視線を向ける。運転席に座るアレクシスの体温がわたしにも伝わり、隣に座るだけでも意識してしまう。雷の音は苦手、母が亡くなった日のことを思い出すから。

”アフロディテ、あなたに妹が出来るのよ。あなたはいいお姉さんになるわ“
 
 痛ましい記憶が蘇る。

 愛されていないこと、信じて貰えないことが辛かった日々。

 あの小さな子供は今も心の中に住んでいる。

 閃光が空に線を描くと同時に両手で耳を塞いだ。

「雷が苦手なのか?」

 車を停めてアレクシスがわたしの肩を抱きしめる。

残酷なほど細やかな彼。優しくされると愛されていると勘違いする。

「大丈夫、克服できるはずよ。母が亡くなった日は嵐で雷が落ちていたから。5歳の時だったわ。もう過ぎたことよ」

「我慢しなくていい」

「我慢?わたしはアフロディテ・ラティスよ。皆は言うわ。全てのものを持っていると」

 嘘。

 愛されること、信じて貰うことは持っていない。

 嘘を塞ぐように彼の唇がわたしの唇に重なる。

 母が亡くなり、お父様がマリアを抱いて帰ってきた日、メイド達は皆、産まれたての赤ちゃんが可哀想だとマリアを取り囲んだ。

 わたしはクレオにしがみつき、寂しさのあまり、マリアに嫉妬した。
 
 数週間後、衝動的にお人形をマリアに投げた。子供心に手加減したつもりだけれど、お父様とメイドに散々、叱られた。
 
 叱られるより悲しいことが数日後に起こった。

 お人形を投げてはいけない、マリアとは仲良くしないと駄目だと決めて、勇気を出してマリアに近づいた時、メイドはさっとマリアを抱きあげ、他のメイドに目配せした。

“アフロエディテ様はわたしと遊びましょう”

 メイドがわたしの手を取り、マリアとは反対の方向へ連れて行く。そう、近づくとマリアをいじめると思われた。

 信じて貰えない、その事実はわたしを苦しめた。不器用なわたしはマリアに近づくことをやめて、嫌っているふりをした。

 心を閉ざして大人が与えてくれる、わがままな娘でいよう。心はもう、その状態に慣れている。

「あなたの家へ向かわないと。わたし達が着くのを待っているはずよ」

「・・・ああ」

 勿体ないくらいの優しいキス。

 もし、アレクシスがわたしを愛してくれたならと願っても、愛される自信がない。

 手に入らないものが欲しいなんてどうすればいい?

 不都合なことに、わたしはアレクシスを意識している。こんなにタイミング良くキスしてくれる人は他に居ない。

 ・・・わたしの気持ちに問いかけてくれる人も。

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