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タマラのロマンス小説

真夏の夢~七里慧先生コミカライズ

真夏の夢1

 
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晴れやかな夏の海をずっと眺めていた。

灼熱の黄色い太陽に照りつけられ、黄色に染まる岸壁。青い海に青い空、白い雲に白い波が無限のように目の前に広がる。

優美で広大な海の風景にいる小さな存在の私、イブ・ゴートン。

 泡立つ白い波が小さな砂利石に寄せては返すたびに、この白い波で私の心も砂利石と同じように洗えればいいのにと、皮肉めいた気持ちで熱い夏の気だるい空気を呑みこむ。

ため息をつき、デッキチェアーに何度も持たれかけては、その寝心地に満足し、英国、イーストボーンの観光客がひしめく中で、誰も居ない小さなビーチを見つけられたのは本当に運が良かったと感じた。

 宿泊している山荘からデッキチェアーとパラソル、鞄の中に日焼け止めとコカコーラ、昼食用のリンゴを入れて三日間もここへ来ている。

 光る水面の輝きを眺め、思索にふけった。

私の母・・・・・・ヘレン。

ヘレンのことは愛しているけれど、とても重荷に感じている。

幼いころからずっとそうだった。

ここ一年はヘレンの待つバース郊外の家には帰っていない。

 ヘレンは毎日のように携帯電話にメールを送ってきては、私に男性を紹介しようとする。どこで探してくるのかわからないが、名門校出身のエリートサラリーマンばかりだ。ヘレンは未だに私を特別優秀な頭脳の持ち主であると決め付けていて、考えを改めてくれそうにない。私が新聞社に就職した時にはあからさまに落胆していた。

 まぶしい日差しが照りつける中で、自由に空を舞うかもめを眺め、羨ましげに両手を広げた。

大手新聞会社の日曜新聞文化欄のライターとして就職して五年、初めての夏期休暇だというのに仕事のことばかり考えている。仕事について考えるのが一番楽だからだ。私の担当する文化欄の仕事内容は、私の子供時代と同じような子供を取材する仕事なのでとてもやりがいがある。

現在二十七歳の私はキャリアウーマンで、自分では満足できるくらいに出世しているつもりだが、ヘレンにしてみれば私がノーベル賞でも取らない限り満足しないだろう。

 ヘレンのことはこれ以上考えたくもない。

それに・・・・・・

私と付き合った過去の男性達。

私にはいいと思える素敵な男性は近寄ってこない。私自身に男性を見る目がないのかも知れない。もう男性なんかこりごりだし、愛は物語の中にしか存在しないことを最近になってようやく認めた。もう誰も愛さないし、誰も求めない。自分の過去を回想し、絶望的な表情を浮かべて、潮の匂いを吸い込んだ。
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