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タマラのロマンス小説

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海運王の娘~サン・テロス公国物語外伝1~

海運王の娘 3

 
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                ***

    ・・・一週間後

 金色の髪の毛を三つあみにして肩の右に流し、制服を身につける。ピンクのカットソーの胸にはオリーブという名前の名札。チャコールグレイのパンツ。メイクはリップグロスを塗るだけ。時に眼鏡。

「オリーブ、今日は念願の半年目の給料日ね」

「ええ、メロディ。この日を待っていたわ」

 小さな隠れ家のようなエステサロン“ダンデライオン”はメロディ・ペルサキスの個人店で、パルテノン神殿の近くにあるそれは口コミ客で予約が詰まっている。

 こぢんまりとした石灰の白の建物な中はハーブティーの甘い匂いに満たされ、白いベッドには柔らかな間接照明のクリーム色の光と、観葉植物の緑。一番の魅力はメロディの心のこもった施術である。

 優しく、癒されて和やかな気持ちになり、40代のメロディの指は記憶にないお母様の指を想わせ、初来店でとりこになった。

 エステサロンで泣くなんてお客様はわたしだけかしら?

 ハーブティーをポット1杯分飲んだ後、本音を話したわたしにメロディは提案した。

「ダンデライオン。たんぽぽの綿毛みたいにふらっと飛んできたお客様にエステするのが生きがいだけど、ミス・ラティスはここが気に入ったようね」

「ええ、そうよ。毎日通いたいけれど、予約でいっぱいでしょう」

「お客様で来るのは無理ね。だけど、そうね。パートタイムでどうかしら?色々、教えるわ」

「パートタイム?働くってこと?メロディは恐ろしい提案をするのね」

「あなたは感受性が豊かだもの。いいエステティシャンになれるわ」

 お嬢様のわたしに働くことを勧めたのはメロディが初めて。

「ラティス家の娘だとばれないかしら?」

「人間は自分のことだけに関心があるから、地味に扮したらバレませんよ」

「面白そうね。本当にそうかしら?」

「アフロディテではない別の名前の名札を付ければ別人で通用するし、気付いても似た人くらいにしか思われないわ」

「そうね、名前はオリーブにするわ!憧れていたの。そういう名前に!」

 予約客の名前に応じて、社交場で会ったことのあるお客様が来るときは眼鏡を掛けるけれど、ダンデライオンで働くオリーブがアフロディテ・ラティスだなんて誰も気付かなかった。

 どきどきしながら働いて半年。メロディはわたしをオリーブと呼び、先祖から伝わるオリーブのネックレスを誕生日プレゼントしてくれた。それは本来、母親から受け継がれるものだけど、わたしのお母様はロシアの貴族でお父様が一目ぼれをして結婚した、という話だからラティス家にオリーブのネックレスは無いのかも知れない。

 新品の銀のネックレスよりも、代々使い込まれ、受け継がれてきたものの方に価値がある。

 娘が居ないからとプレゼントしてくれたメロディには感謝している。

 お客様のカルテを作ったり、身体に合う香油やハーブを勉強したり、ネイルの勉強もありで、メロディの足元には及ばないが、この半年でかなりの知識が身に付いた。

 深紅のポルシェよりも、銀のオリーブのネックレスの方が嬉しい。

 今夜はお父様にポルシェのお礼にホテルのディナーを一緒に食べる約束をしている。

 ホテルの予約は済み、大好きなお父様とわたしの二人分しか出せないけれど、自分が働いたお金でプレゼントするのは嬉しい。

 お父様はきっと月々の小遣いから出したと誤解するけれど構わない。

 楽しく働いている分、禁止されても困るので内緒にしておこう。

 仕事場の更衣室ですみれ色の瞳に合う淡いベージュのサテンのドレス、ゴールドのヒール、メイクも丹念にしてポルシェに乗る。

 月々の小遣いが沢山あるのに、メロディから貰う毎月の小切手は特別のもののように感じられた。

 喜んでくれるかしら、お父様。

 期待に胸を弾ませ、アテネ近郊のホテルの駐車場に車を止め、大理石の床を歩いて、レストランの個室のドアを開けるとそこには予期せぬ者が待っていた。

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