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タマラのロマンス小説

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 雨の日に振り向いて 2 2.「CEOにプロポーズ」コミカライズです。
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雨の日に振り向いて

雨の日に振り向いて 3

 
 雨の日に振り向いて 2 2.「CEOにプロポーズ」コミカライズです。
「他には?」

 何が何でも理由を聞き出すつもりなのね。わたしを抱きしめたまま、離してくれない。

「離して」

「出来ないよ」

 もしかして少しは、いいえ、そんな期待をしてはいけない。

「なるべく早く帰ってくる、それでいいだろう」

「良くないわ!」

「今、ここで話さないと帰さない」

 かつて、こんなに強引なことがあった?

「もしかして仁志さんはわたしと復縁したいの?」

「それは・・・決まっているだろう」

 本当に復縁するつもり?決まってなんかいないじゃない。勢いよく彼から離れると本音が漏れた。

「そうよ、わたし、仁志さんを愛しているわ。仁志さんがわたしを想うより、わたしの方がずっと仁志さんを愛しているのよ」

 彼の顔が憎くて、一度はにらみつけた癖に彼の顔がこれ以上見られない。

「一緒に居てもわたしだけが好きみたい、そんなの耐えられない」

 言いたくなかった言葉。

 わたしが愛するのと同じ、いいえ、それ以上に愛して欲しい。

 そう願うのはわがままなの?

 片思いのような感じではなく、わたしが愛している以上に彼から少しだけ、多く愛されたい。

 それはほんの、ひとしずく、くらいでいい。

「さようなら、仁志さん」 

 求めて止まない心と溢れる感情。

 わたしだけが彼を愛していればいいなんて気持ちは空しいだけ。

 どうすれば愛されるのか悩みながら、彼のことだけで心が埋まってしまう日々に耐えられなかった。

「理恵」

 近づいてきた彼を右手で振り払おうとしたけれど、彼はわたしの手首を掴み、引き寄せてわたしを抱きしめた。

「僕の方が理恵を愛している」

「嘘でしょう」

 普段、愛していると言ってくれないじゃない。


 お願い、わたしを愛してなんて懇願出来ない。

「嘘なものか。今日だって傘を忘れたふりして、一緒に入っただろう」

「そんなことしたの?仁志さんらしくない態度ね」

「・・・・・・少しでも理恵の近くにいたかったから」

 本当に?折りたたみ傘を忘れるなんて彼らしくないことは確か。滅多に間違えないから、間違えたときは焦るのよね。

 普段、似合わない癖に、必要以上に格好つけているからなあと呆れた表情で彼を見上げる。

 髪もいつもより乱れていてぼさぼさなのね。彼の髪に触れたくなる衝動に耐えながら質問した。

「今日、会わなかったら、どうするつもりだったの?」

「どこかで出会えるように努力しただろうな。・・・・・・実際、あのファーストフード店にはよく通っているよ」

「どうして?」

「理恵が居るかなと思って。女々しいと何度も反省したけど、今日みたいに本当に理恵が店に居て」

 もしかして彼はわたしのこと愛している?

 言葉にしてくれないと分からない。

「よっぽどの理由がないとあの店には行かなかったわ。今日はそうね、雨が降っていたから」

「雨?」

 そうよ、何もかもが流れる雨。

 わだかまりも溶けてしまうほど。

「そう、雨宿りするために戻ったの」

「降ってくれて良かった。何度も家の前で待ち伏せしようとしたよ。だけど」

「早退なんて出来なかったでしょう?」

「早退は出来る。そういうのは格好悪いのかと悩んだよ。理恵を失うより格好悪い方が遥かにいい。理恵、戻って欲しい」

 愛している?

 ぎゅっとわたしを抱きしめる彼。
 
「その方が格好いいわ、仁志さんの場合」

 迎えに来て、愛していると言って。

 わたしは、わたしに不安な気持ちになる。

 仕事で忙しいとはいえ、彼は社会的には成功している。

 せまい街。

 沢山の人の中に埋もれている、たった一人の小さなわたし。

 愛しているは特別な言葉。

 何度も確認しないと心は涙の色になる。

「こういう時にはどう言えばいいと思う?」

「ごめん、かな?」

「間違っているわ、仁志さん」

 正解を教えないといけないのかしら?

 態度では示してくれているのね。

「・・・・・・雨」

「雨?」

「止んでいるから、赦してあげる」

 窓の外には虹が橋をかけている。

 澄み渡った青い空の午後。

 形を変える雲の浮かぶ日も、激しい雨の日もある。

 その度に心は揺れ、心を見るのを拒否する日もある。

 だけど、この、格好悪くて格好がいい彼を愛していることは変わらない。

 わたしと彼、わたし達はこういう日々を繰り返し、同じ時をこの街で過ごしてゆく。

             ***END***
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